川連漆器は下地に重点をおいているのが特徴です。下地とは、仕上げがきれいにいくように基礎をつくるための工程で、ハケを使い柿渋や生漆を直接数回塗る「地塗り」が中心的な作業です。そうすることで、狂いのこない堅牢な製品をつくることができるのです。
仕上げは「花塗り」と呼ばれ、漆本来の美しい光沢を引き出します。研ぐことなく滑らかな表面を出す技術で、漆を均等にムラなく塗るのは、熟練した職人しかできません。
自分の生い立ち
1971年8月11日生。川連漆器の塗師である家に生まれ、川連小学校、稲川中学校、湯沢高校と進学。本来の主旨とは違い趣味ではじめた釣りに小学生の頃から没頭してしまい、釣りがメインの生活を目指すべく自営となる家業を継ぐことにしました。
伝統工芸師でもあった父の元で川連漆器の塗り行程を習得し家具などを塗っていましたたが、近年では家具が本業のメインの塗りであります。
34歳のときにその時代では最年少での伝統工芸師資格を得て、花塗りだけではなく呂色にも塗りの幅を広げ、あらゆるものに漆を塗れるような技術を習得しました。
塗りのみの作業のため自分の銘を入れた作品は作りにくく、独創性などを求めて悩んでいましたが竹竿を作る事になりまして、この仕事を選んだのは運命だと感じました。
川連漆器とバンブーロッドの融合
一本の竹を裂き、それを正三角形に6本削って張り合わせて作る釣竿。このように何もないものから道具が出来上がるのはおもしろく、調子も自分の思い通りにできるフライロッドは竹でもあり、漆を塗ってほしいと訴えかけられているようでありました。
角を研ぎ切れさせずに塗りから研ぎ磨きまで至るには試行錯誤はありましたが、ラッピングも含めオリジナルに漆器の技術と融合できていると感じています。川連漆器は道具として日用品として使える身近な漆器でもありますので、酷使する釣竿としてはもっとも活かされるのではないでしょうか。